この本を読むのにどれだけ掛かったかというと、実に1年である。(笑)
包み隠し無く言うと、自分の頭の悪さにほとほと愛想が尽きるというか、さらさらと読めない難しさが僕の方にあったのは事実。マンガでも遅読だが、考えされられる本を読むのは正直疲れる。
で、読み終わって、長く掛かりすぎたので、もう一度はじめから3分の1ほど、読み返してみて、初めて今日ブログに書こうって訳だけど。。。
正直なところ、最後の方で宮崎氏自身が書かれているとおり、世界を見るとき、君はどんな見方を持っているのかと問われると、それはあてどもないものなので困ってしまいます。と書いてある。
で、そのために、この本の最初には、「これではまずいと」宮崎氏自身の理想の保育園像を書いてみましたってなっている。
僕には、中学の頃読んだ、北杜夫の「船乗りクプクプの冒険」の一節、「切っても切れない安全ナイフ」のたった数文字で、充分事足りる内容だった。
そうなのだ。正直、この本で印象に残ったのは、この理想の保育園像で。イラスト入りの最初のカラーページ部分こそが、あらたのの感心したところかなぁ。
申し訳ないんだけど、この二人の偉い先生が、世の中をどうこう難しくお考えになるのは良しとして、この本を企画した徳間書店さんは、どういう読者を対象にどういう視点で企画したのだろうと、考えれば考えるほど解らなくなった。(読んだのは新潮文庫です)
およそ、文部省のことや、子育てのこと、教育のこと、それを問題にする現代が、何でも型にはめようとする、おかしな社会になっていること。それらを痛烈に読み取っているお二人のご見識には脱帽と言うしかないが。。。。
でも、おかしな世の中って言えば、おかしくない世の中は、人類史上、一瞬たりとも存在しなかったことも述べた上で、源氏平家から鎌倉、仏教、お坊様に至るまで、世の中そう文切り型に解決がつくものじゃないよ。というメッセージは解りすぎるほど解るのに、読んだ後で残るフラストレーションは、やはりこのお二人が仙人になりつつあるところか。
また、これからの子供達、未来の世代が、想像を絶する苦労のある大変な時代を生きていくという分析の元で、まあ、どうぞ頑張ってください的なお2人の生き方が臭ってくるのでスッキリしない本なのだ。
解決法を教えてくれとは言わないが、児童福祉への実践の伴わない世界で、何を訴えるわけでもないところがしんどい一冊だった。
まま、子育てをする上では、参考になるところもあるし、反面教師になってくれているところもあると思えるので、一読しておくのも良いだろう。
虫眼とアニ眼
養老孟司、宮崎駿
ISBN:978-4101340517
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