お手軽な常温流体の石油というエネルギーが、M.K.ハバート(1903-1989)の計算と予言通り、枯渇の様相を呈してきた。10年か50年かは素人のあらたのには解らないが、早晩、原油は1バーレル=100ドル時代に帰り、掘っても出ない、絞り出さないと採れない時代に入っていくのだろう。
間違ってはいけないのは、石油ピークは「石油の枯渇」を言っているのではない点だ。油田に圧力をかけないと湧出しなくなったり、オイルサンドのような、不純物除去など、得られる石油そのもののエネルギーとくらべて、充分大きく余計な手数やエネルギーが掛かる時代のことを言い、エネルギーの質の問題を論じている所が肝だ。
今朝はYahoo経済ニュースに、もったいない学会会長、石井吉徳東大名誉教授の記事が掲載されている。巷のエコブームの変遷に、一切左右されず、20年以上も一貫したブレない主張は真の科学者の主張と拝察する。
石油ピークは食糧ピークであり文明ピークでもある - Yahooニュース
※リンク先は記事が無くなりリンクを削除しました。(2011/02/16更新)
また、同時に、もったいない学会では、昨今のエコカーブームにも苦言を呈している。手軽な石油に代わって、燃料電池や充電池の普及増産に伴い、やはりお手軽に採れる所からのリチウム採掘で、第2、第3の自然環境破壊と収奪がはじまっている。という話である。
お気楽お手軽な石油によって、指数関数的に拡大されてきた現代文明と交通インフラ。それを拠り所として、本来の地産地消を阻害し、物流という経済活動を活性化させ、遠いところから先進国の食卓に安くて美味しく、とことん便利でゴミの出るパッケージ化された商品が届く。
その影では、安全な水や食糧を搾取され、飢えに苦しむ人達がいるのは厳然たる事実なのだが、どうも先進国のメディアでは常に上をかすめるような低空飛行で、着地のない論説が目立つ。(それも最近やっと真剣に取り上げようという気風が現れ始めているが。。。)
同じように、地方に増えるシャッター街の本質も、この問題と同じ根をもつ。もっといえば、リーマン・ブラザーズの破綻や、先進国の拝金主義者達がもたらした、モラルハザードも、遠因は石油と戦争にその端を発しているというと言いすぎだろうか?
先のことを考えず、お手軽に地球の資源を貪ってきたツケが回ってきている。今こそ近代科学の粋を凝らして、文明存続への知恵を持つ未来の人材、すなわち知恵のある子供達を育てていくべきだろう。
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