途中息切れしながらも、永らく続いた自民党政権の敗北が確定して、すでに数日が経つ。
国民の「高齢化」を分子として、国の「未来」や「希望」が分母となる割り算は、どんどん頭でっかちになって、今にも倒れそうである。
介護施策、医療・医師の問題、後期高齢者医療制度など、連日のように午前中から、当の高齢者をターゲットにしたテレビの番組が組まれ、不満を増幅させる機能が、どうやらマスコミの狙い通りの機能を満たしたようである。これは民主党の勝利ではなくマスコミの勝利であり、自民党の敗北ではなく、政治家の敗北だと、あらたのは思うのだ。
主婦をターゲットに昼間から夕方の番組は、勝ち組をクローズアップし、グルメと、行けもしない海外旅行、リフォーム、マイホームと贅沢な暮らしを見せ付ける。当の主婦とは、ほとんどに置いて「富裕層ではない」のは明らかで、番組を見て満足する人より、亭主の稼ぎに不満を新たにする人のほうがきっと多いだろう。こんなことは、改めて統計を取らなくても統計学という学問の机上だけでも予測がつく。
民主党大勝の月曜日には、すでに田園調布の鳩山家の豪華な暮らしをそれとなく平然と流しているし「勝てば官軍」「金持ちが勝ち」「負け組みより勝ち組」と、政治家の贅沢や国民を省みない姿勢について、テレビを見る庶民に、言葉にはしなくても肯定をうながす心理的攻撃も見事だ。
他にも、教育、環境、温暖化など、主婦層を不安に陥れる番組やニュースは、選挙前からもこれからも目白押しだ。これらの「希望否定の偏狭報道」は、今後も変わることはないだろう。
積もりに積もったやり場のない不満を、どこにぶつけるかと言う問題について、多くの国民は、実際に政策を立案・実行した、自公政権にぶつけた形である。スケープゴートになるのは明らかだったが引っ込みもつかず、そのまま突入したのは不覚としか言いようがないのも悲しい。
選挙翌日、月曜日の報道で、前日8月30日の投票所から出てきた人へのインタビューを見ても、「候補者本人より、自民政権否定のための一票」と発言した人が目立ったのも特徴的だ。不満を晴らすために選択した一票が、さらに空しく不満を増大させる選択だったことに気づく日は早いと思う。
で、有権者の多くが選択した民主党政権が誕生した以上、お手並み拝見と言いたいところだが、あらたのは最初から期待していない。早晩、政界再編へと向かい、誰が悪かったかわからない構造に仕立て上げていくだろうし、またぞろ、本当の悪を判らなくしておいて、新たなスケープゴートを見つけ出し、あぶりだす。
高速道路無料化は、はじめから頓挫しているし、こども手当てもいきなり半額支給から、医師不足に対しては、医師の数を1.5倍にします。なんて。。カップラーメンの増量じゃあるまいし、4年でできることではない。
およそ実行できないマニフェストをこれだけ並べた中で、今後、民主党が本気で一生懸命やろうとするのは、小選挙区比例代表の定数を180から100に削減する公約だけだろう。徹底的にムダを削減というお約束を守るのには、大変都合のよい大義名分であり、天晴れ・お見事といっておこう。
ドント方式による定数配分で、定数が180から100に減らされると、少数政党ははじき飛ばされる。一方、民主党の小沢一郎が、公示日ギリギリに送り込んだ小選挙区候補には、元女子アナや、警察官僚などが顔を並べる。
振り返ってみると、小沢氏の擁立する各選挙区の対立候補について、詳しい報道が皆無であったことにも気づく。。。この3週間ほど、最も多く時間を割いて報道されたニュースは、酒井法子関連ニュースだった。このことを問題にする識者も数多くいる。
見れば見るほど、考えれば考えるほど情報管制、報道管制が恐ろしい。日本の情報戒厳令はすでに始まっているのだ。
自由な発言の場として、効果の高い砦として残されたのはインターネットだけ。資本という怪物にどこまで個人が対抗できるかは疑問だが、正論は正論として訴えていくべきであろうし、訴える場、表現する場所を死守しなければならないだろう。
このブログで、常に書き続けてきたが、児童ポルノという明らかな児童虐待で、絶対悪とも言える、一見、反対する者はすべてペドフィルというレッテルを貼り付けられかねない危険なテーマにおいて「単純所持禁止」という麻薬並みの規制議論の向こうに、強力で行き過ぎたインターネットフィルタとブロック、国やプロバイダ、マスコミによる統制が待っていないとは誰も言えないだろう。
本当の日本の危機(というか庶民の危機)にならないことを心より祈るばかりである。
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