タイガーマスク現象~だけれども多くのボランティアは・・

昨年末、伊達直人の名で、児童養護施設にランドセルや文房具がプレゼントされて以来、矢吹丈や、星飛雄馬、果てはミナミの帝王など、さまざまなヒーロー?の名前という「匿名」で、同様のプレゼントが続いていることは、もちろん皆さん周知のことだろう。。。

そこには、こんなメッセージもあった。「暗い世の中であっても希望があると言うことを知ってほしい」
それはそれは、とても大切なことだ。あらたの自身も希望が持てない今の社会や世相を批判し、希望こそが未来への鍵だとも以前に書いた通りだ。

児童養護施設出身の娘が、WEBで感想を述べているページを見たが、多くの養護施設出身者は、同じ思いを抱いているだろう。「一過性のタイガーマスク現象で終わってほしくない」と。

【インタビュー】話題のタイガーマスク現象について思うこと- マイコミジャーナル


さて、故人を特定できるWEB上の情報は消えているので、ここに名を伏せて書くが、ある身近な、あらたのの先輩が子供二人を残して亡くなり、子供は二人とも施設に預けられた。その先輩は生活は決して楽ではなかったが、自ら進んでボランティアをする方で、共助が未来のキーだと言っていた。震災を経験した僕も、その考えは軌を一にしていて、とても共感した。

なぜ、児童養護施設なのだろう?それは、始まりが伊達直人だからに他ならない。今のままではアニメ混じり、ヒーロー混じりで、寄付行為者側の満足度が優先しているように思えるが、考え過ぎか?行動が長く続くとは思えない。また、数多くの心あるボランティア団体が、この構造不況の中で、例外なく困窮している状況を見ると、均一や公平と言うことにはほど遠い。

あらたのは、ある社長から、寄付を発生できる特徴のあるオークションを運営したいと提案を受け、2000年にギブユーオークションという、不要になった物品を出品し、落札された際には、登録参加したボランティア団体に、出品者の事前の意志で設定すれば、寄付が入る仕組みを考え、サイト構築するチャンスをもらった。

ギブユーオークションサイトは、21世紀を期して、2001年に始動。数々のWEBならではの問題を乗り越えながら、辛い運営が続いた。寄付を集めると言うことで、心なく怪しげな団体と揶揄されたこともある。寄付は扱えないと、大手クレジット会社は決済システムの利用を断り続けた。突破口のひとつとして、マスコミの大きな広報力を期待し、マスコミにずいぶんラブコールを送ったものだ。

だが、結果はどうだったかというと、電話をしてもFAXしても、手紙を書いても全くの無反応。限りなくシカトに近い状況だった。直接取材に来たものは誰一人いない。記者会見を開くと、広い会場に記者は2人だった。今は懐かしい苦い思い出である。弁理士にもビジネスモデルとしては受け付けがたいと言われ、特許化も不可能だった。

不要なものを、それでも廃棄しないことはまず環境に限りなく良い。購入した人は欲求を満たせる。出品した人は、もとより登録した団体への寄付がしたい。しかし現金の寄付は一般には難しいことだ。だから、売れたときだけ、したい寄付がしたい団体へ出来る巨大サイトを作りたかった。

このアイデアは、先ほどの故人となった先輩がとても喜び「僕がしかたったのはこれやってん!こういうのメチャええと思うで。」と自分のことのように、サイトの完成を喜んでくれた。故人もまた私も、決して仕事上では幸せとは言い難い結果を残してきた。正直辛い日々の方が多い。その辛さの多くはお金(資本)の問題だ。

マスコミの質の低下は、いつもあらたのが、時に辛辣に書いているが、今回も、またこれからも、マスコミに私的な恨み事をいうつもりはさらさら無い。本当に質が悪いから、質が悪いと書いているのだ。商品なのだから、質が悪ければ悪いというべきだろう。良いと思った番組は、ちゃんと良いと言うし。

先のタイガーマスク現象にもどるが、本当に一過性で終わらせてほしくはない。また、今さらになって、「ご存じでしょうか?日本の年間寄付額は2000億円に対し、アメリカは22兆円です。寄付に対する市民の感覚が桁違い。100倍もあるんですね。」なんて、資料だけで、中身の一端すらも分からず、発音もままならぬ下手なアナウンサーに軽々しく言ってほしくない。

その言葉は、私がギブユーで対外的にFAX、電話、手紙や口頭で、あらゆる機会に新聞社、雑誌社、放送局の1スタッフだったり、課長級だったり、部長級だったりした相手に訴え続けてきたことだ。

また、そのような寄付を恒常的に定着できる低額決済の仕組みはインターネットが最も優れていると訴え続けて来もした。

だが、結果は振るわず、2007年にサイトは閉鎖した。その間、主婦向けの雑誌が一度取り上げてくれたのみにとどまったと記憶している。

本当にお金を必要としている、あるいはモノを必要としている人へ、資本や物資を、一人の判断で正確に投下できるものではないとあらたのは思う。

その時のもっとも正確な指標は、より多くの共感の集まる所。であるはずだ。それは、マスコミが報道するタイガーマスクの行動への共感では決してない。その共感は当たり前だ。聞けば分かるから。素晴らしい行動だ。

だが、あらたのがもっとも大切だという共感はそれではない。児童養護施設にしろ、高齢者福祉のボランティア活動にしろ、アルバイトを続けながら無料の演劇を施設で見せるボランティアにしろ、山岳のゴミを清掃する活動にしろ、活動を黙々と続けている人たちに対する共感の広がりと持続を、皆が一人一人、正しく見つめ、共感したなら共に行動し、共に行動できないなら少しでも自分の及ぶ範囲で、それを伝えることではないか?

ヒーローの活躍を伝えることで、同様のヒーローが生まれる。やがては広がりを見せ、多様なヒーローを生み出す。その結果として、児童養護施設や公共施設、自治体に結果が現れる。だがこれは敢えて言うなら、目的と手段が逆だ。

寄付する側が称えられるのではない。寄付する側が偉いのではない。寄付される側が、寄付されるだけの偉大な、そして充分な苦労や活動を行っているから、それを称え、それが偉大だから、寄付されるべきもののはずだ。

最後に、同情されることを、施設の子たちはもっとも嫌っているはずだとも書いておこう。マスコミは、頑張っている子供たちにもっと数多くのレンズを、そっと向けるべきだ。そうでなければ、ちやほやされて、おかしくなったタイガーマスクが、この先、さらに勘違いしてヒーローを気取り、現れるかもしれない。

どこまでも、より努力をしている側に目を向ける、すがすがしいジャーナリズムであってほしいと願うものだ。もちろん、寄付をした方が、寄付を出来るまで豊かな生活を得た背景には、人知れぬ努力があったには違いないが。

それは、過ぎ去った大人の過去であり、未来は今を戦っている子供たちが築くものだと思うから。阪神大震災を経験して16年目。まだまだ冬が続く今だからこそ、敢えて書き残しておきたい。多くの心あるボランティア活動家は未だに冬の時代に耐えている。

繰り返しになるが、これはマスコミへの恨み言などでは決してない。そんなことを言っている暇は庶民にはないのだ。そんな暇があったら、ひとつでも子供のおもちゃを修理する。

(追記)
今はランドセルが就学時に必要だから仕方ないが、ランドセルは製作業者には悪いが、全く無用な商品だ。なぜあるかすら、あらたのには分からない。納得のいく説明を出来る者はいるのかとつくづく思う。
なぜ手提げ袋ではダメなのか?なぜリュックサックではダメなのか?真新しいランドセルで「生徒を一列にそろえる」から、買えない子が寂しい思いをするのだ。

つまらぬスタンダード指向はいい加減でやめないと日本は前に進まない。そうあらためて思う、このタイガーマスク現象だった。

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