あらたのが、心から尊敬してやまない、バングラディシュのグラミン銀行総裁、ヤヌス氏が、同国の中央銀行(日本で言えば日本銀行だよね)から、解任の命令(通知?)を受けていたことが朝日.jpに掲載された。これはゆゆしき一大事。
グラミン銀行ユヌス氏を解任 バングラデシュ中央銀行 - 朝日.jp
国としては、定年が60歳の役職に、70歳のヤヌス氏が居座っていることを問題視したわけだが、ヤヌス氏のことを昔から追っかけてる人なら、これが、不当な公権力行使による弾圧というのは、はっきりと目に見えている事件だ。
まず、定年を問題視していることについてだが、彼は単なる創業者という意味での功績を遙かに超えて、マイクロクレジット理論という、既存経済理念を根底から揺さぶる、貧者のための経済を打ち立てた人物であり、グラミン銀行の世界的な成功は、彼の知恵の賜(たまもの)だ。
また、2006年のノーベル平和賞受賞、国連の貧困国自立、救済対策として正式に、このマイクロクレジット理論が採用されるなど、人類的貢献度の高さから行くと、ヤヌス氏の思想を根底的に、確実に継げるだけの後継の知恵者が現れるまで、80歳でも90歳でも居座っていて貰って当然とあらたのは考える。
こういった、バングラディシュ政府と、ヤヌス氏の対立は、古くは1980年代から続いており、同政府にとって、与党や行政府の汚職、海外からの借款の不正な運用などを厳しく指摘している彼は、もとより目の上のタンコブである。
2008年には、新政党の樹立をも模索していたと、朝日.jpには書かれているが、明らかに、政権与党による、意図的な弾圧行為であると見て良いだろう。
3月2日の解任命令から、一夜明けた3日には、ヤヌス氏自身が、即座に解任命令の無効を求めて、地元の高裁に訴えを起こしている。
この先も、注視していかなければならない、ひとつの大きな事件といえるだろう。こういった、庶民の分断、貧富格差の放置は、搾取政治の根幹をなすものだ。
最貧困層が、自ら工夫し、僅かであっても融資によるチャンスを得て、誇り高く、自ら立ち上がるためのきっかけを作る活動であるグラミンのマイクロクレジット。
これを妨げる、あるいは、リーダーを失脚させ、異質な銀行に変貌させようという力が強まっていると言うことは、それ自体、世界中で、大多数の人間が分断され自由を奪われるプロローグとして、世界の危機なのだと、改めて理解したい。
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